漆の用途は、塗料にほぼ限定されていますが、昔から『漆塗り』の重箱に入れた『おせち料理』は傷みにくい、漆塗りのタンスには虫がつかない、などと言われており、漆には素材の保護、美観を与えるといった塗料本来の目的以外の機能性の保持が予想される。しかし、実際には漆の抗菌性、防虫性の効果についてはよくわかっていない。そこで、ウルシオールの構造がフェノール系の抗菌剤の構造に似ているという事にも注目して、漆の抗菌性について試験を行った。
試験結果は下記の表の通り…
(フィルム密着法による黄色ブドウ球菌に対する漆塗膜の抗菌性試験結果)
試 料 |
生 菌 数 |
|
接種時 |
24時間後 |
減菌率(%) |
日本産 |
4.3×104 |
<1.0×102 |
100 |
城口産 |
<1.0×102 |
100 |
毛ぽ産 |
<1.0×102 |
100 |
畢節産 |
<1.0×102 |
100 |
ベトナム産 |
5.4×102 |
ー |
試験の結果、漆塗膜の黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果が認められ漆の粉末化によって他素材への複合が容易になった。 |